半年続いたゼロックスの8クールを何とか乗り切り、やっと副作用の苦しみから開放されると喜んだのも束の間。
痛みはむしろ日々強まっていき、調子も段々悪くなってる。
「この苦しみは、いつまで続くんだろう…」
「もしかして、このまま治らないかもしれない…」
そんな当時の私と同じ不安を抱えている方に伝えたい。
副作用は投薬終了から、タイムラグがあって治っていくよ! という話です。
私が治ったから誰でも治るとは断言できませんが、経験者談ということで参考になればと思います。
■ゼロックス療法終了後、強まる副作用に私も絶望した。
私は2017年8月に、大腸がんの治療のため入院・手術し、「直腸がん ステージ3a」の診断を受けました。
その後、9月から抗がん剤治療「ゼロックス療法」を受け、翌年2月に8クールを終了。
ゼローダ&エルプラット(オキサリプラチン)と半年の付き合いを終え、やっと副作用の苦しみから開放されると思っていました。
ところが、日が経つにつれ副作用による痛みやしびれは、より強くなっていきました。
医師からは徐々に治っていくと聞いていましたが、話が違う。
「投薬が終わったのに、むしろ副作用が悪化してるじゃないか…」
と、天国から地獄に落とされた気分でした。
それもそのはず。
8クール終了後ということは、体内の薬剤濃度やダメージがMAXな状態。
投薬が終了したからといって、薬の影響はすぐには無くなりません。
むしろ、8クール終了後が一番ダメージを受けている状態になります。
ところが、弱っていると不安材料を探しがち。
一向に治まらない副作用に、
「この苦しみは、いつまで続くんだろう…」
「後遺症として残ってしまって治らないかもしれない…」
と、永遠の苦しみに襲われる恐怖が湧きまくり、不安に駆られる日々を過ごしました。
しかし実際のところ、医師の言う通り、ゆっくりですが痛みや体調不良は和らいで、治っていきました。
そして2年経ってみて。
たまに手先に痛みが生じることはありますが、当時苦しんだ多くの副作用を意識することは、ほぼありません。
ということで、いま同じような不安を抱える方に、安心材料として、私の「治った実績」をお伝えしたい。
■副作用の症状が無くなったと思うまでの期間
さっそく答えから。
私の場合は2年経って、まぁ大体治ったかな というのが印象です。
1年だと、ほとんど意識することはありませんが、時折激痛が走ったり、まだ少し痛いなーという感じ。
デジタルなものではないので、「はい!○月○日治ったー!」と断言するのは難しいですが、各症状が少しずつ治まって気にならなくなり、ある日ふと気づけば症状が無くなっている感じで。
治っていくイメージは下記グラフのような感じ。
8クール終了後から2〜3カ月をピークに、徐々に解消されていきました。
2年経って残ってると感じる症状は、トイレ(大)が高頻度なこと以外、日常で意識することは、ほとんどありません。
厳密ではありませんが、どれくらいで治っていったかを、記録や記憶から思い出してみます。
■ゼロックス療法終了から2カ月くらい
この時期が一番厳しかったです。
8回分の抗がん剤のダメージが蓄積し、副作用が非常に強く出てる時期でした。
私が当時記録していた日記では、ゼロックス終了から1カ月後の日記に
投薬が無くなれば、直ちに症状が改善すると期待していたが、
むしろ悪化を続けていると感じる。
今の体を作るのは、過去に採り入れたものなので、
薬で受けたダメージが時間差でが襲ってくると思えば妥当なところか。・手足が痺れ、思いどおり動かない
・腹の具合が不安定で、トイレの頻度が高い
・平衡感覚の異常あたりがツライ
という記述があり、投薬の影響と治癒の時間差があることが伺えます。
また、当時リハビリと称して、自宅で家族全員分の皿洗いを日課としていましたが、手が上手く動かず滑らせて何度も皿を落とし、2枚ほど割りました。
- 体中痛い。
- 手が上手く動かない。
- 頭がボーっとする。
- だるい。
すべてがMAXで襲ってきたこの頃は、寝て過ごすことが多かったです。
ただ、皮膚は代謝が早く、2カ月目くらいで改善されてきました。
分かりやすかったのは、足の裏。
シミだらけで黒ずみ、ビニールのような質感になっていた足の裏の皮が日焼け後のようにボロボロと剥けました。
それを半年ぐらいで何度か繰り返し、きれいになりました。
■ゼロックス療法終了から半年くらい
半年ほど経つと、確かに痛みや痺れはありますが、あまり意識することが無くなってきました。
時々、指先が思い出したように超絶痛くなったりはしましたが、一時的なもので忘れた頃には治まりました。
手の感覚はいくらかマシになるも、足の感覚は素足なのに靴下を2枚履いているような感じで、表皮あたりの感覚がなかなか回復しない。
手を動かす能力も改善されていきて、皿を洗っていても、あまり落とすこともなくなりました(コツを掴んだのもある)。
逆に歩く時のフラフラや、目を閉じると後ろに引っ張られるように倒れる平衡感覚の異常は、半年ではあまり改善されませんでした。
そして、一番の問題はトイレ問題でした。
小は普通だけど大の方が面倒で、便意がくれば猶予なし。
トイレを探す余裕はない。
出かける際には非常に困る問題で、いつでもトイレに行けるよう配慮が必要となりました。
車で出かけて間もなく腹痛を発し、かつ渋滞にハマった際は地獄でした。
また、出るのが1回では済まず、固体・軟体・液体・残り と、4回くらいに分けて便意が来るため、非常にめんどくさい。
時間もかかるし、紙の消費も激しい。そして拭きすぎで痛い。
腸の中身が順番に出てくる感じです。
しかも一度に済まそうと座り続けても出ない。
あきらめてトイレから出て、5分くらい経たないと次の波が来ないという難儀なものです。
まぁ、他は日常生活に影響がなくなるレベルになりました。
回復を実感するというより、気づけば気にならなくなっている感じ。
■ゼロックス療法終了から1年くらい
この頃には、ほぼ健康な頃と変わりません。
指先、足裏の感覚の鈍さや軽い痺れは残っていましたが、意識しなければ気にならない程度に。
時折、指先が超絶痛くなったりはするけど、頻度はすくないし、痛みも前ほどではない。
ただ、トイレ問題は相変わらずで、便意がくればノータイム。
小出しで何度もトイレに行く生活は続いています。
平衡感覚の悪化も、治りきってはいないけど支障はない という感じ。
■ゼロックス療法終了から2年経って
2年経って、まだ副作用残ってるなと感じるのは、
・手先の違和感(ちょっと)
・足裏の違和感(皮1枚分感覚が無い感じ)
・トイレ(大)が高頻度
の3つ。
疲れやすいなどの症状はありますが、副作用との因果関係は疑わしいので除外です。
・手先の違和感
指先の感覚は、ラップ1枚巻いてるみたいに、うっすら感覚が鈍い感じがします。
また、ちょっとたまーに痛くなったり。
痛みがピークの頃は、パソコンのキーボードが上手く打てなくなり困りましたが、今は問題ありません。
・足裏の違和感
足の裏も少しだけ感覚が鈍く、手よりも厚い紙1枚分くらい、感覚に隔たりがあります。
でも、副作用ピーク時の歩いて痛いとかは一切ないので困ることもなく、普通に1時間とか散歩可能です。
・トイレ(大)が高頻度
これは私だけかもしれませんが、個人的には一番の問題点。
仕事や用事があれば、便意に襲われそうだと分かっていても時間には出なければなりませんので。
担当医の話では、健常者だと直腸あたりに便を貯める膨らみがあるのだが、がんの手術により切除した状態。
そのため貯めることができずに、頻便になるとのこと。
つまり、薬の影響で便秘と下痢を繰り返した投薬時のものではなく、手術による大腸の変化によるものの気がする。
これらは治らないか、完全に回復するのに長い時間を要すると思います。
お腹を押して、腸に圧を加えると、少ない回数で出せる気がするなど、工夫をしつつ対処を研究しています。
以上、各症状はトイレ問題以外は、気にならい程度になっており、副作用はほぼ治ったと言えます。
■手足の痛みは治らないと言われていたが…
治療中もそうですが、手足の痛みや痺れは厳しいものがあり、これが一番治ってほしいものでした。
8クール終了後の診察で、担当医に痛みを訴えたところ、
「以前説明した通り、これは治るものではない」
「不可逆的なものだと思ってください」
と言われました。
一般的に、人の神経は傷ついたら治らないと言われているので、治らないと言われれば、そんな気はする。
「ずっとこの痛みが続くのか…」絶望しました。
しかし現在、気にならない程度に治りました。
たまに少々痛みを感じる時もありますが、基本的にはなんともない。
もし「治らない」と言われていたとしても、年単位で見れば徐々に治癒し、MAXの痛みが永遠に続くということではないので、そこらへんは安心していいんじゃないかと思います。
■おわり:時間が経てば治っていきます
以上、抗がん剤 ゼロックス療法 終了後に副作用が治るまでの期間について書きました。
抗がん剤 ゼロックス療法を受けている最中は、副作用のオンパレードで死ぬかと思いました。
しかし、今は突発的なトイレ問題以外は無視できるレベルまで解消されています。
もちろん、個人差や年齢差があると思いますが、医師からも完全とは言えないが徐々に治っていく という話がされていますので、多くの方は治っていくと思います。
抗がん剤によって生じていた症状は、ずっと続くわけではない。
前述のグラフのように、8クール終了から2〜3カ月ほどがピークで、以降落ち着いていく。
そんなイメージで時間が解決してくれます。
不安にならないで!というのは無理かと思いますが、お医者さんが言うように、ちゃんと治った人がいる ということを覚えておいていただければ幸いです。