にしのま(Nishinoma)です。
がんの手術や抗がん剤治療で「高額療養費制度」によって大幅に負担できた方。
「医療費控除」の適用を受けられれば、さらに負担を軽減することができます。
ぜひ使うべき!ということで、今回は「医療費控除」についてまとめました。
国税庁のサイトが簡潔にまとまっていて、見れば分かるといえば分かるのですが、それでもよう分からんという人のために、わかりやすさ重視で医療費控除の概要を説明いたします。
医療費控除とは何か?を大雑把に言うと、
「年間で払った医療費の合計が10万円以上の人の所得税や住民税が軽減される制度」
※生命保険などで貰った保険金の額は、医療費合計から引く
※課税所得200万以下の人は10万じゃなくて所得の5%
です。
がん保険に入っている方は、保険金が多くもっていると適用を受けられないかもしれません。
必要なのは、医療費の領収書と年末調整の紙。
申請は確定申告の書類の「医療費控除」の欄に記入・入力することで行います。
とにかく病気で払った領収書は、すべて取っておいてください。
私は、2017年に大腸がん(直腸がん ステージ3a)になり、手術や抗がん剤治療を受けました。治療のため60万円以上がふっ飛び、その後も治療のため、3年連続で医療費控除の申請もしています。
経験者談。体験をふまえたお話となります。
私のプロフィールや大腸がん闘病の概要は下記記事にまとめていますので、興味あればご覧ください。
■国税庁のYouTubeチャンネルで説明してる
いきなり外部ですが、YouTubeの国税庁動画チャンネルで、医療費控除の説明を動画で見れます。
ぶっちゃけ概要を知るには、コレみればオッケーです。
○医療費控除を受ける方
と、このままでは、このページは要らない子なので、上記動画の復習がてら、補足を加えつつ、医療費控除を説明いたします。
■医療費控除とは何ぞや?
医療費控除は、自分と家族が払った1年間の医療費が一定額(だいたい10万円)を超える場合、所定の額分の「所得控除」が受けられる国の医療費補助です。
「所得控除」なので、医療費が戻ってくると言うより、所得税や住民税が安くなって、結果として医療費負担が減るシステムですね。
会社員の方は、年末の年末調整でいくらか返ってくることが多いと思いますが、医療費控除の申請によって、安くなった分の税金が、さらに還付金として返ってきます。
・【訃報】生命保険でもらった分は引かれる
生命保険等でもらったお金は、年間の医療費合計から引いて計算します。
医療費が50万かかっていても、医療保険で45万もらっていたら、年間で払った医療費は5万円になる感じです。
がん保険などで高額の保険金を貰っていると、適用されない場合もあります。
・「セルフメディケーション税制」とは選択適用
医療費控除の話では、よく同時に「セルフメディケーション税制」が語られますが、「医療費控除」との選択適用で、両方の適用はできません。
払った医療費が高額であれば、「医療費控除」一択です。
・医療費を合算する期間
医療費を合計する対象期間は、1月1日から12月31日までの1年間。
自分の払った医療費に加えて家族の分も合算できます。
なので、1年間を通し、病院などで支払った際の領収書は、片っ端から保管しておいてください。
申告の際に必要な「医療費控除の明細書」の作成に必要ですし、確定申告では原本提出は不要ですが、申告から5年は保存義務があります。
・申請方法
申請方法は、確定申告の書類に、医療費控除を記す箇所がありますので、そちらに記載することで行います。
その際、払った医療費の一覧となる「医療費控除の明細書」を添えて出す必要があります
医療費控除は会社の年末調整では対応できない仕様のため、適用には別途確定申告をする必要があります。
■どんな医療費を合計できるのか
病院で払ったお金なら何でもOKという訳ではなく、治療のために払ったお金のみが、医療費として計算できます。
細かくいうとキリが無いので、分かりやすくダメなモノの例からざっくり羅列しますと、
・ダメなもの
- 美容のための整形や歯列矯正
- 自己都合で遠方の病院に行く場合の交通費
- 疲労回復のためのマッサージや整体
- 異常なしの人間ドックや健康診断
- 自家用車で通院の際のガス代や駐車料金
- 公共交通機関が使えるのにタクシーで行った
・OKなもの
- 病気治療のための医療費全般
- 最短の公共交通機関の交通費
- 異常アリだった人間ドックや健康診断
- 妊娠や出産、産気づいた際のタクシーはOK
- 介護関連サービス
よく分からない場合は、保険適用される診療はOKという感じで判断できるのかと思います。
治療ではないの美容整形や予防注射などは、保険適用外ですし。
・交通費の計上を忘れずに
ありがたいことに、医療費には病院等への交通費も含めることができます。
基本的には電車やバスなどの公共交通機関の往復費用となり、タクシー運賃や自家用車のガス代・駐車場代コストは、やむを得ない場合以外は適用外となっています。
また、付き添いがどうしても必要な場合は、付添の方の交通費も含めることが可能です。
交通機関は領収書が出ないので、証明するものもないため、計上する費用は自己申告となります。
■医療費控除で、いくら控除されるのか
控除される額は次の計算式で出されます。
課税所得が200万円以下と200万円以上で計算が異なります。
・所得合計額200万以上の方
{1年で支払った医療費の総額 ー 保険金などで補填される金額} - 10万円 = 医療費控除(最高200万円)
・所得合計額200万以下の方
{1年で支払った医療費の総額 ー 保険金などで補填される金額} - 所得の合計額の5% = 医療費控除
・税金も安くなる
所得が控除されるということは、税金のかかる年収が下がったということになるため、年収に応じて払うべき税金が下がります。
具体的には、所得税と住民税。
個人事業主なら健康保険や事業税も下がるのかな?
医療費控除される額が分かったら、自分の所得税率をかけることで、所得税が最大いくら還付されるか分かります。
上の計算で出た 医療費控除額 と 自分の所得の税率 をかけるだけです。
・控除額シミュレーターを作りました。
別記事で、数字を入れると控除額や安くなる税額が自動計算されるプログラムを作りましたので、大体の数字を入れてお試しください。
■医療費控除は、いつまでに申請すればいいのか?
基本的には確定申告の期限ということで、例年2月16日から3月15日くらいが前年分の申告期間なので、その間の提出が必要です。
しかし過ぎてしまっても、申請期間は5年ということで、修正申告をすることで5年前までの分の医療費を遡って申請し還付を受けることができます。
たとえば今年の2020年分の申告は、2025年までにということになります。
しかし、過去に確定申告した内容を修正申告としてやり直す必要があり、非常に面倒なので該当する年のうちに処理するほうがいいです。
■医療費控除申請用の「医療費控除の明細書」の作り方
確定申告自体を説明するとキリがないので、「医療費控除の明細書」の作成についてふれます。
「医療費控除の明細書」は書式があり、パソコンを使ってオンラインで確定申告書を作る場合と、手書きで税務署に持参して確定申告する場合で、フォームが異なります。
○国税庁HPの確定申告書等作成コーナーで確定申告書類を作る場合
オンラインの場合、「医療費集計フォーム」というexcelの中間ファイルに医療費一覧を入力して、確定申告の医療費控除のところで読み込ませると自動的に「医療費控除の明細書」が作れます。
国税庁作成の動画で、やり方や手順の説明があります。
○自宅でできる確定申告 医療費集計フォームの使い方
■国税庁 確定申告書等作成コーナー
トップページの右上の「医療費集計フォーム」よりダウンロードします。
ダウンロードしたexcel等で、必要項目に合わせて医療費の領収書の内容を、片っ端から入力。
医療費控除の入力時に読み込ませれば、「医療費控除の明細書」のデータが作成され、確定申告に反映されます。
excelをお持ちでない場合、申告のためだけにエクセルを用意するのはもったいないし、お金のために金がかかっては本末転倒なので、Libre Officeなどのフリーの代替ソフトを使うといいかもしれません。
■Libreoffice
https://ja.libreoffice.org/
○手書きで確定申告を行う場合
手書きの医療費控除の明細書を入手してください。
■医療費控除の明細書の書き方など
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/iryouhikoujo2.htm
で、「医療費控除の明細書」の手書き用PDFと、excelデータがダウンロードできます。
こちらのexcelも、数字を入力できます。
領収書が多数の場合は、タブで次葉のところにも入力でき、自動で合計が計算できますが、自分で印刷する必要があるります。
PC環境やプリンタが無い方は、プリントサービスを使うか税務署等に相談してください。
■困ったら税務署に聞くべし
詳しく伝えようとしても、記事では概要や参考例しかお伝えできません。
かといって0から分からないと、問い合わせのしようもないし、相談も長時間かかります。
なので、ある程度概要を知った上で、相談してみるのがいいと思います。
最寄りの税務署にご相談ください。
■マイナンバーカードがあれば、スマホでも申請できる
スマホでも確定申告が可能です。
が、マイナンバーカードが必要だったり、NFCリーダー機能付きのスマホでないといけなかったりと、少々ハードルがあります。
○自宅でできる確定申告 医療費×スマート申告
■おわり
以上、医療費控除の概要をまとめました。
確定申告は面倒ですが、多くの方で数千〜数万円は浮きますので、ぜひ活用してください。