私が大腸がんになってから色々な不安に襲われましたが、とくに強く感じた不安の一つが治療費です。
カゼでも怪我でも、医療費は治療が終わるまで何円になるのか分かりません。入院や手術ともなれば、膨大な金額になるのは容易に想像がつき、恐怖もひとしおでした。
テレビか何かで治療が数百万にもなると聞いた覚えがあったため、払えるのか?治療しても借金返すために生きることになるのか?と、病気の不安に上乗せするように、これから払う治療費に非常に不安になりました。
今回は、私が体調不良を感じて検診のために病院に行ってから、標準治療とされる手術・抗がん剤を終えるまで、実際にかかった医療費をまとめました。
病院や症状により大きく異なるでしょうが、「私の場合はこうだった」という前提でご覧ください。
この投稿で、病気による様々な不安の一つ、「治療にいくらかかるのか」という漠然とした不安を少し緩和できればと思います。
■私の大腸がん体験について
私は2017年6月にがん宣告され、8月に入院手術。直腸がん ステージ3aと診断されて、抗がん剤治療を9月から2月まで受けました(半年行う治療のため)。
その時の支払い明細をとってあり、それを元に書いているので、拾ってきた情報ではなく、実際に支払った医療費となっています。
数年前の医療費なのと、病状や治療法、病院によって医療費は個々で異なってくるため、目安としてご覧ください。医療費に消費税はかからないため、増税の影響はありませんが、薬価改定などがあれば影響があるかもしれません。
■大腸がん(直腸がん ステージ3a)でかかった治療費
治療が一段落する「体調不良を感じて検診」「手術入院」「抗がん剤治療を終えるまで」での医療費を集計したところ、
合計 635,460円(2017年6月〜2018年2月)
かかっていました。
一気に60万かかったということではなく、体調不良を感じて病院に検査に行った日から、検診、入院、そして半年の抗がん剤治療を終えるまでの医療費合計です。
60万は安いものではありませんが、100万以上という覚悟もしていたので、思ったより安く済んだというのが個人的な感想です。
■大腸がん治療の段階ごとの医療費
上記のかかった医療費60万を、各治療段階的の節目ごとで分けると
検診〜入院まで | 44,290円 |
手術入院 | 104,043円 |
抗がん剤(6か月で8クールの合計) | 487,127円 |
となり、大半が抗がん剤のお金でした。
受けたのはゼロックス療法というもので、3週間で1セットの抗がん剤投与が8セット続きます、3週ごとに6万くらいかかります。抗がん剤をはじめとする化学療法は、ステージ2以下なら無いそうです。
高いと構えていた入院費自体は思ったほどではありません。ベッド代が無かったのと、高額療養費制度が非常に効いているところで、制度が無ければ手術だけで50万以上かかっていました。
早期発見は転移の可能性を下げることはもちろん、治療費の大幅削減にもつながるため、違和感を感じたら早めの受診をお勧めします。
■治療段階ごとの医療費
各段階を細かく見ていきますと、
・初診から入院まで
下血の頻度が高くなり、不安に感じて近所の「大腸肛門科」に行った日から、内視鏡検査(大腸カメラ)などを行い、がんが確定。
そして入院までにかかった費用が44,290円です。
入院に際し、指定の病院でCTを撮るよう言われたため、CT代の9,910円が入っています。
(この段階の詳細は別記事で書く予定です)
・入院、手術の費用
12日の入院で、手術費用+食事代を合わせて10万4,043円でした。
治療点数は172,534点だったので、1点10円で計算すると172万5,340円。3割負担となると51万7,600円と高額ですが、高額療養費制度により、負担額は9万4,683円と大幅に負担は軽減されました。
また、ベッド代は一番安いところを希望したら、8人部屋で非常に狭いところでしたが、0円で済みました。
0円では無い部屋では、7,560円〜71,280円となり(当時の値段)、ベッド代は実費負担のため、12日だと10万円くらいは上乗せされてしまうところです。
入院手術の際の医療費について、下記投稿で別途細かくまとめているので、参考にしてください。
・手術後の抗がん剤治療
手術後にステージ判定がされ、ステージ3aと診断されました。
3aでは再発防止のための補助化学療法として抗がん剤投与を行うのが標準治療とのことで、9月より翌年2月まで行いました。
その抗がん剤治療では、約半年で48万7,127円を払いました。
ゼロックス(Xerox)と言われるプリンターみたいな名前の療法で、3週間で1クール。2時間くらいの点滴1回をスタートとし、2週間の飲み薬を組み合わせます。3週間目は休薬機関です。
合計8クールがセットで、滞りなく進んでも合計168日と、半年ぐらい続きます。
そして、これがクソ高い。医療費の大半を占めているのが、このフェーズ。
点滴で病院に払うのが5万、一粒100円以上の高額なゼローダ錠 6粒を14日間、朝晩に飲むため薬局で2万。3週間ごとに6〜7万かかりました。
しかも点滴から数日経つと、副作用なのか頭痛と倦怠感で、まともに動けない日が数日続くため地獄の日々でした。
失敗したのが、薬局と病院は高額医療費の適用額を連携してくれないこと。病院には適用されていたのですが、薬局では適用されておらず、申請すれば数万円は戻ってきたかもしれません…。
(この段階の詳細は別記事で書く予定です)
・経過観察(おまけ)
抗がん剤が8クール済んだ後の検査で、再発を疑う結果は出なかったため、経過観察となりました。
私の通っている病院では、3か月ごとに外来で採血と診察。半年ごとにCT、2年ごとに内視鏡検査を行い、再発がないかを観察しますが、経過観察の仕方は病院ごとに異なると思いますので、参考まで。
さらに、9月にCTの結果から血管に別の病気が見つかってしまったため、純粋に大腸がんだけの費用ではないので参考の参考まで。
2018年2月に8クール目の抗がん剤を終えてから、2018年末までにかかった医療費が44,010円でした。
CT1発1万円、内視鏡で5千円みたいな感じです。
5年間再発が見られなければ「寛解」と言われる治った状態となり、治療が終了しますので、経過観察の4年くらい4〜5万かかってくるイメージですね。
(この段階の詳細は別記事で書く予定です)
■【まとめ】高いけど、なんとかなった
以上が、初診から抗がん剤を終えて経過観察に至るまでの医療費です。
まとめますと、
- 最初の検診〜入院までで、44,290円。
- 手術入院で、104,043円。
- 抗がん剤8クールの合計が、487,127円。
合計で 635,460円でした。
治療前は、入院費が一番高いと思っていましたが、限度額認定により大幅に負担が減りました。
逆に、抗がん剤の費用が思いのほか高く、長期にわたるため結構な痛手となりました。
・医療保険、限度額で多少助かったが…
これはプランのせいでもありますが、入っていた医療保険は「入院日額1万円」だったため、入院費は12日入院だったため微妙にプラスになりました。
が、抗がん剤に対する適用はなく、全額自腹。限度額認定も、1ヶ月の医療費に上限を設けるものなので、抗がん剤のように毎月6万と分散してしまうと適用されませんでした。
保険料を抑えるため、オプション無しで入っていましたが、先進医療特約があれば抗がん剤に対しても保障がついた。でも、いつ病気になるか分からない状態で高額な保険料を払っていたら、貯金してた方が得と、どちらが良いかは判断が難しいところです。
・医療費以外でも治療を受けるためのコストが…
がん治療は治療費だけじゃ済まないのが困ったところです。
入院は2週間ぐらいしますので、その間働けません。有給があればいいのですが、無ければ無収入になってしまいますし、有給日数が足りなければ、給料から日割りで引かれてしまう場合もあります。
また退院後に抗がん剤治療にかかれば、点滴のため半日は拘束されるので、定期的に休まねばなりません。また、その後の副作用によりフラフラになって動けない日も出てきます。
さらに病院に何度も通うため、交通費も無視できませんし、検査のためのレントゲンやCTなどでチマチマと、数千、数万が飛んでいきます。
なってしまったものは仕方がないと思うしかありませんが、せっかく貯めてきたお金が楽しみでなく、苦しみのために消えていくのは悲しいです。
病気による高額な出費を真正面から乗り越えるのは困難ですので、国や保険の力を大いに借りて、がんを乗り越えましょう。
私が使ったのは
- 高額医療費制度
- 任意で加入していた生命保険
- 確定申告による医療費控除
- ポイ活(ポイントサイト)で医療費を捻出
など。
私は利用しませんでしたが、会社員だと傷病手当という健康保険から手当金を貰いながら休養できるシステムもありますので、会社にご相談ください。
(この段階の各項は別記事で書く予定です)
■おわり
以上、大腸がんステージ3aでかかった医療費をまとめました。
過去の私が、病気に加えて金銭的不安や家族の不安など、一挙に襲ってきた未知の状況に悩まされたのと同じように、今悩んでいる方に向けた情報を逐次発信していきます。
不安が少しでも解消されれば幸いです。